The Holy of Holies

ひたすら自分に優しい日記

そこから旅順港は見えるか。
これは児玉の有名な言葉なのだそうですね。


 受話器に山頂からの声がひびいた。
「見えます。各艦一望のうちにおさめることができます」
(『坂の上の雲』文庫版5巻)



ここらへんのシーンは目が黒部ダムの放水状態で発電ができるのではと思うほど感極まっていました。
ご覧になった方はいかがでしたでしょうか。


これでもかというくらい戦場のシーンが続いた回でしたね。
「プライベート・ライアン」や「バンド・オブ・ブラザース」に匹敵するのでは錯覚するような、圧倒された戦場シーンでした。(2作とも感銘と衝撃を受けた作品です。特にバンド・オブ・ブラザースはよかった。ラストが淡々と明るいところがアメリカ的で、なるほど戦勝国とはこういう視点に立てるのだなと感じ入った次第。リアルな戦闘シーンに耐えられる方には超オススメ。ちなみにTVシリーズです)

原作も非情で残酷なまでに淡々と戦争の事実を描いていくのですが、このドラマも原作に準じてかなり深く陸軍の戦いを描いたように感じます。
テレビではあれが限界なのではないでしょうか。
できればもう少し具体的な、数値化した事実などを盛り込んでほしかった・・・
28サンチ砲榴弾にしても、これがどういう攻撃力を備え、なぜ今まで第3軍が放置していたのかなどチクと入れてほしかったです。
で、戦いのシーンですが、旅順から203高地へ戦場が移り、戦況が深まるにつれ、BGMが止まって戦場の凄絶な音、声だけとなり、息をするのを忘れるような凄まじい迫力がTV画面に展開していき、ついに203高地が落ちたときは脱力するほど圧倒されていました。
屍の山を作って作って、何万人も亡くなったあげくの奪取か~と、涙まじりのため息をついてました。
相手は機関銃装備ですよ。そこにばかのひとつ覚えの突撃を繰り返していくんですよ。
相手のロシア兵もこの突撃に具合が悪くなったようなことが原作に書かれています。
殺しても殺しても突撃してくる。いったいどれだけ自分たちは相手を殺したらいいのだろうか、みたいな悪夢を感じたのではないでしょうか。
ロシア軍の指揮官はそんな兵たちに「人形だと思え」と命じたといいます。
どれほど死体ができたかというと、死体収容のために休戦したほどです。しかも数回。
嗚呼・・・
原作を読んでいたとき、ここらへんはあまりの死者の多さに私も気分が悪くなってどうしようもなくなったのを覚えとります。
司馬先生はよくここまで書いたなと思います・・・

日本兵の指揮官が「突撃~!」と命令すると、ちゃんと機関銃の雨に向かって突撃していく。これがどうにもわかりませんでした。
私だったら絶対逆走するか、その場に倒れて死んだふりする。
ただドラマではどういう意図があったのか、「突撃!」の命令から2、3秒間を置いてから突進していったんですよね。
あの間が、死を覚悟するというか、これから起こるであろうおのれの運命を呑み込むというか、そういう間に感じて、なんともいえない悲壮さを感じていました。

203高地を奪い、すぐに「砲兵の観測将校が有線電話をひっぱって駆けのぼる(文庫5巻)」シーンはとてもよかったですね。
そして電線を通じてあの「そこから旅順港は見えるか」「見えます。まる見えであります」という会話があり、28サンチ砲をどっかんどっかんぶっ放すと。
あそこは忘れられないシーンです。うむ
しつこいですが28サンチ砲について、児玉と攻城砲兵司令官・豊島少将とのバトルを入れてほしかった。
ついでに明石大佐をもっともっと出してほしかった。

なぜ明石大佐を黙殺するようなストーリー展開にしたのかNHK・・・(呪)
あの時代の日本の諜報活動ほど(「の」が3つも入って美しくない)素晴らしいものはなかったし、それをしっかり描いているから原作は面白いのに、なぜ。
明石大佐こそ坂の上の雲の裏キモだろうが。
明石大佐にネコを抱かせてこその坂の上の雲ではなかったのか。
文庫6巻の「大諜報」がたった数秒。しかも語りでほぼスルーとは。
いかにケン・ワタナベの語りだろうと、これではビッグマックのハンバーグ抜きと同じではないのか? 水戸黄門で印籠出ないのと同じではないのか。
あのスルーシーンだけは白けてしまった。
反論は一切認める。うむ。

俳優陣はどなたも素晴らしかったです。
今まで陸軍など誰がどこに出ているのかさっぱりわからなかったのですが(特に第3軍司令部のメンメン)、児玉が乗り込んできたときの丁丁発止のシーンで、さりげなくそれぞれがアップになり、ああこの人がこの役だったのかとわかって感動していました。
最初からわかるより、感動が倍増。
またこのときのアップにするカメラワークがよかったですよね。
ちなみにこのドラマを手掛けたスタッフが清盛を担当するので、俄然楽しみです。

俳優陣ではヤハリ乃木の柄本明が1番印象的でした。
そして桃太郎侍。
冒頭の大山と児玉が語り合うシーンは深みがあって味わい深かったです。
アイラのシングル・モルトのようでした。
桃太郎侍の声が柄本明の背中にかぶさるシーン、「乃木は笑えんじゃろなあ」みたいなセリフが流れるところ、あのときの背中と地図を拡大鏡で見る佇まいがもう何ともいえない悲しさと滑稽さがあって、胸にくるものがありました。
近代、近代戦というものを理解できなかった悲劇が、体全体をタールのように取り巻いている。
柄本明が演じた乃木はそんな人物に見えます。
あと両軍の兵士を演じた皆様が素晴らしかった。
どんな世界でも名もなき人たちが支えているんだよなぁと改めて感じました。(一兵卒のなかになぜか勝野洋がいたのもよかった)

最後の203高地を占領したシーンから旅順港砲撃にかけてを見ながら、戦争は絶対にいかんと思ったぞな。
203高地にはためく血染めの日の丸、旭日旗が私は苦く虚しいものに見えてしまいました。
同時にもしこの戦争に負けていたら日本はどうなっていたんじゃろと考え、恐ろしくなります。
あのボリシェヴィキが日本にやってきたかもしれないと思うとギャース!

あああっと、第7師団を出してくれたことに大感謝。
北海道の軍となっていましたが、正確には旭川でございます。
旭川は母の棲息地だったところで、やつがれにとっても第1.5の故郷であります。(第2よりもっと身近)
この師団について、ちょこっと聞いていたので感無量でした。
第7師団司令部の面々が初めて旅順入りして戦況を見るシーンなど、不謹慎ながら格好いいと思ってしまいました。そして第7師団長大迫尚敏中将が「わしらが全員討ち死にすれば、203高地は落ちるじゃろうか」と涙ながらに語るシーンなど、その後第7師団がどうなるか知っているだけに、やつがれ、女ですけど男泣きしそうになりました
参戦したあと児玉に「北海道の兵は強いそうだな」と聞かれた大迫師団長が、「強うございました。1万5千いた兵が、今ではたった千人になりました」と答えるシーンもあって、これで第七師団も浮かばれるじゃろうと思ったのでした。ババ臭くてすみません。

次回はいよいよ日本海海戦ですね。
こちらもどう描かれているのか楽しみです。
というわけで今回も大変楽しませていただきました。
ありがとうありがとうありがとうNHK!!!!!!!!!


以下は拍手御礼でございます。
ありがとうございます(T.T)

 
 
 
 
 
 
12月11日 2拍手

12月12日 1拍手

以上、すべて「坂の上の雲10回」に頂戴いたしました。
これを見て、江をあと3回くらい削って、そのぶん坂の上の雲の回数を増やしてくれと思ってしまいました。
しかし3部は見応えがありますけど重いですね。
これを見たあと、ばかばかしい南極大陸を見て気分を軽くしています。
人間より犬のほうが演技上手いってどういう・・・
11回もセットで楽しむ予定です。


ここからは頂戴したコメントへの御礼でございます。

永田雄之様
このたびもコメントをありがとうございます。
大変嬉しかったです。
奥様のエピソード、笑ってしまいました。
いつ伺っても楽しいお話ばかりで、名言集ができるのではないでしょうか。
坂の上の雲、いいですよね。
203高地の回は、話が進むにつれ、なぜだかわからないのですが、涙が出てきました。
感動というより、虚しさのほうが先に立ちます。
ところでいつもお会いする高齢者の方で、男性の方にこのドラマの話を振ったら、実際旅順や203高地など戦跡を訪ねた方がいらっしゃって、いろいろ興味深い話を聞くことができました。
ただ筋金入りの軍国元少年+博識で、太平洋戦争まで話が及び(こちらも戦跡を訪ねまくっておられる)、話が止まらなくなったという・・・
気がつくと世界情勢まで話が飛んでいて、知識ゼロの私は半泣き状態になりました。
藪はあまりつつかないほうがいいと勉強になりました・・・



皆様、お心遣いを本当にありがとうございました。
心から御礼申し上げます。


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